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桜井 淳雄
Atsuo Sakurai
JRPA(日本レース写真家協会)所属
フォトグラファー

[観客一人一人がF1そのものだ]
 先輩の写真集を見てF1に興味を持った。1990年と1991年の鈴鹿を撮影し、1992年から全戦を撮っている。F1の世界に入り込んで早15年、生意気な意識も芽生えてきた。
 ボクらよりずっと後ろの金網の外から、雨の日も風の日もまたまた灼熱の太陽の下でも、ジーと座ってただぐるぐる回る豆粒のようなF1カーを眺めている観客を見て、いったいなにが面白いのかと思うようになった。すっかりF1との至近距離に慣れきった自分には理解できなくなっていた。
 その思い上がりを覆す場面に出会ったのは、2006年イタリアGP。ミハエル・シューマッハーの引退が噂される中で、表彰台の下に多くの観客達が詰めかけ、優勝したシューマッハと、まるで一体にならんかのごとく人さし指を大きく天にかざす。金網の後ろでじっと待っていた観客がスパークした瞬間だ。観客一人一人がF1そのものになっていた。ボクは、ず〜っと後ろの方から、ドライバーと一体になった彼らを撮るしかなかった。
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