独占契約決定で、F1ゲームはどう変わる?
ここ数年間、F1のゲームといえばプレイステーションのみでしか目にすることができなかったのをご存じだろうか。これはソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)社がゲーム化独占契約を保有しており、プレイステーションを展開している同社が他のゲーム機向けにソフトを提供することがなかったためだ。もちろんSCE社のF1ゲームも完成度の高いものだった。しかしレースゲームというのは、開発会社によって、またゲーム機によって特有の「クセ」のようなものがあり、選択肢が一つに限定されてしまったこの数年間というもの、F1ゲームファンは長らく寂しい思いをしてきたのだ。
しかし今年5月、SCEに代わってコードマスターズ社がゲーム化独占契約を獲得した。同社は『コリン・マクレー・ラリー』などでヒットを飛ばし、レースゲームファンの間では良作開発で知られるメーカー。これでSCEとはひと味違ったF1ゲームが遊べることになった。
さらに大きいのは、プレイステーション以外のゲーム機はもちろん、パソコンでもF1ゲームが発売されるということ。グラフィックの再現性やセットアップの細かさなど、PCゲームは群を抜いており、マニアはPCの新作F1ゲームを待望していたのだ。
さて、これまで不遇の時代を過ごしていたF1ゲームファンは、どのようにしのいできたのか? それはPCゲームの醍醐味と無関係ではない。PCゲームの魅力は、前述したようなゲーム「深さ」に加えて、自分でデータを改変してアップグレードできるということ(もちろん自己責任のもとで、だが)。この特徴を生かして、何年も前のゲームを改造し、最新のビジュアル&データベースで遊んでいる人々が少なからずいるのだ。
その代表格が『GRAND PRIX 4』というゲーム。発売は2002年だから、もう5年以上も前のゲームだ。オリジナルのデータ2001年のチーム&ドライバーラインナップ。しかし右のスクリーンショットをごらんいただければ分かるとおり、このゲーム中でルイス・ハミルトンのマクラーレンや、キミ・ライコネンのフェラーリが走っている!
PCゲームには、有志がこうしたアップデートデータを制作し、公開しているサイトがいくつもある。マシンやドライバーのビジュアルだけでなく、コースの看板や風景なども最新バージョンが用意されている。TVテロップまで最新型に変えてしまうのには仰天だ。
しかし、このように熱狂的なまでにアップデートを追究するファンがいたり、何年にも渡って遊ばれ続けているのは、やはり元々ゲーム自体の完成度が高いから。F1のゲーム化が独占権でなく、複数のメーカーによって競われていた時代は、内容の向上も同時に競われていたからかもしれない。そういう意味では、新作を開発中のコードマスターズとて同じく独占契約を獲得しているわけだから、その真価が問われることになる。『GRAND PRIX 4』のように長く愛される作品を、家庭用ゲーム機やPCに送り出せるか。
コードマスターズの新作F1ゲームが発売されるのは2009年とアナウンスされている。発売時期は明らかにされていないが、2008年データでの発売なら春、2009年データでの発売なら夏〜秋頃になるだろう。その日を首を長くして待つゲームファンも少なくないだろうが、一般ユーザーが様々なゲーム機でF1ゲームに触れる機会が増えるというのが、もっとも楽しみで意義深いことなのではないかと思う。
(text by You NAGASE)





