天気ビジネスの最前線
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「気温が1度下がればおでんが売れる」……そんな具合に、コンビニの品揃えは天気予報に合わせて日々入れ替えなのだという。コンビニに限らず、天気に左右される商売は少なくない。交通事故の増減さえも天気の影響を受ける。それだけ人間の行動と密接なつながりがあるということだ。その天気予報データを提供する天気ビジネスは、全世界で6000億円もの市場規模を誇っている。
実は、F1もその上得意様のひとつだ。晴れるか、雨が降るか。晴れるとしたら、日差しの強さは? 気温は? 路面の温度は? 雨だとしたら、降水量は? 降り出すのはいつで、やむのはいつ? そのすべてがレース戦略を左右し、勝敗のカギを握っているからだ。たとえば、5分後に雨が降ってくることが分かっていれば、ピットストップの給油のついでに雨用タイヤに交換してしまう。そうすれば、雨が降り出してからタイヤ交換のためだけにピットインする手間が省けて、上位浮上のチャンスがやってくる。
こうした戦略を立てるため、F1チームは詳細な天気予報データを必要としている。かつては自チームスタッフを周辺地域に配置し、リアルタイムで気象状況を報告させて予報をするといった手法が採られていた。時にはヘリを飛ばして偵察することもあった。また、海軍や空軍がもつ気象データの提供を受けていたチームもあった。
現在、全F1チームにその気象データを提供しているのが、フランスの国営気象観測機関「メテオフランス」だ。メテオフランスは独自のレーダーを持ち、サーキットの気温、路面温度、湿度、風向きなど、特定の地点の気象データを提供する。さらにある地点(サーキット)に対して数km先、数十km先、数百km先といったように、周辺の気象データを複合することで、詳細で正確な予報を可能にしている。もちろん、データを分析する気象予報士の経験と分析力も重要やファクターだ。その正確性は、TV中継に時折表示される「6分以内に雨が降る」や「30分間は降水なし」といった予報テロップからも分かる。
もちろん、今では全チームがこうした詳細な天気予報を行なっているので、天気の変動がレースの勝敗を大きく分けることは少ない。ただし、メテオフランスから提供されるデータや予報は共通でも、それをどう分析し結論づけるかは各チームの力の見せ所。たとえば、先日のモナコGPでは、多くのチームが「もう雨は降ってこない」と予想する中、「もう一度雨が降ってくる」と予想していたフェラーリ(フェリペ・マッサ)がトップから転がり落ち、見事に予報を的中させたマクラーレンのルイス・ハミルトンが逆転優勝を果たした。
コンビニの売れ行きを左右したり、モナコGPの優勝者を左右したり。天気ビジネスはいろんなところで活躍しているのだ。
(text by You NAGASE / photographs by Toyota, Bridgestone)





