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 小学生がフェラーリに勝った!?

パインウッドダービーってなに?

  F1チームのオトナたちが、無邪気に遊んでいる。木でできたオモチャのクルマが、レールの上を勢いよく走っていく。これは「パインウッドダービー」という遊びなのだが、これが結構奥深い。なにせ、アメリカのボーイスカウトで50年以上前から毎年行なわれている、遊びなどと言っては失礼なほどの、伝統の競技なのだ。

 

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 パインウッドダービーとは、文字通り松の木(パインウッド)のボディに車輪を4つつけただけのクルマを、レールの上を転がして先にゴールした方が勝ち、という単純なゲーム。クルマにはモーターも何もついていない。しかし、単純だからこそ難しいというのも事実。空気抵抗はできるだけ少なくしなければいけないし、車輪の摩擦も大敵。さらには重心位置によって速さが変わるというのだから(車輪への荷重のかかり方=グリップ=転がり抵抗なのだ)。というか、これはまさに本物のF1マシンと同じこと。

 

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 F1チームの面々は、実際にF1マシンを作るときのノウハウや製図ソフト、果ては風洞シミュレーションまで使って「パインウッドカー」を開発する力の入れよう。30ページに及ぶルールブックを入念に読み込んで研究している。どのマシンも空力を意識してスリムなシェイプ(どのチームとは言わないが、一部のマシンを除く)。そしてマシンを裏返せば、重量配分をミリ単位でセットアップするおもりが貼り付けられている(これも一部のマシンを除く)。そしてF1マシン同様に美しく塗装され、専用ケースに保管されて持ち込まれてきた(これもやはり一部のマシンを除く)。

 

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 2006年フランスGPの際に催されたこの大会では、フェラーリやマクラーレンをはじめとしたそうそうたるF1チームのスタッフに混じって、ボーイスカウト代表の小学生も参加した。優勝したのは、圧倒的なマシンの完成度を誇るフェラーリ。しかし並み居るF1チームを押しのけてそのフェラーリに次いで2位に入ったのが、なんとその小学生のマシン! F1マシン作りのノウハウを投入して作ったパインウッドカーを、その道のプロである小学生ボーイスカウトが負かしてしまった! 少年はご褒美にフェラーリ・チームのおじさんたちからフェラーリのマシン(もちろんパインウッドカーですが)をプレゼントしてもらい得意満面。子ども時代のこういう経験が、夢をはぐくむんだなぁ。

 

 ちなみみこのパインウッドダービー、アメリカだけでなく日本でもボーイスカウトの間では毎年大会が開催されているのだとか。それだけに、パインウッドカー製作キットなんてものも市販されている。それもF1マシンみたいな格好をしたボディにタイヤをセットしたものから、それこそ松の木の角材から勝手に削り出せと言わんばかりのキットまで、多種多様。しかしミニ四駆やラジコンも良いけど、パインウッドカーのように空気や重量といった「自然法則」を相手に工夫をするのって、なんかイイ。そういう知恵を絞ることって、ある意味では人間の原点であり、子どもにとっても純粋に楽しいと思えることなのではないだろうか。

 

(text by Mineoki YONEYA / photographs by Red Bull Racing)

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